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戦略文化の変化 


2007年5月13日、ISAF支援のために派遣される前のドイツ空軍トーネード戦闘機
ドイツ空軍のトーネードはNATOのユーゴ空爆に参加した機体でもある
(写真:Getty Images/Sean Gallup)


 期末試験期間中でなかなかブログの更新ができていないが、余裕が全くないにもかかわらず気分転換にゼミのレポートの内容に関係することについてちょっとだけ書こうと思う。 

 「戦略文化」って何なのか一言で言うと、コリン・グレイによれば「modes of thought and action with respect to force(軍事力に関する考え方と行動の様式)」参照である。

 ちなみに、国際関係や安全保障を勉強している人にもあんまり(ほとんど?)知られてない戦略文化という言葉、『国際政治事典』(545ページ)には載ってたりする( ^ω^)
 
 あと、防衛大では「戦略文化論」という科目がある参照。羨ましいな。


2007年11月3日、アフガニスタンを電撃訪問するメルケル首相
後ろに見えるのはトーネード、左の軍人の軍服の袖にある緑のワッペンは↓
(写真:AP Photo/Johannes Eisele)



ISAFに参加するドイツ軍人(写真:AP Photo/Musadeq Sadeq)


 戦略文化に関する論点の一つに「戦略文化は変化するのか」という議論があるのだが、この分野で「第一世代」とされているジャック・スナイダーやコリン・グレイは「変化しない」派で、それに対して「第三世代」と呼ばれる人達は「変化する」派である。ただ、変化するといっても政権交代くらいで変化するものは文化とは言わなくて、戦争などかなりショックな出来事が文化を変化させる触媒になると考えられている。ちょっと別件でググっていたら驚いたことに聖教新聞でいい記事を見つけたので、それを使って「第三世代」の主張を簡単に紹介してみようと思う。

 湾岸危機・戦争(1990~91年)でドイツは、イラクによるクウェート侵攻に対して世界が一致団結している時に、日本と同様、資金は出したけれども人を出さなかった。こうした財政援助のみに終始する態度が「小切手外交」との厳しい批判を浴びた。(批判を受け日独両国は、戦闘がほぼ終結した時点で掃海艇をペルシャ湾へ派遣した。)
 ドイツはこの時の教訓を踏まえ、紛争や非人道行為に対して、世界が一致して行動する場合には、足並みをそろえて対処していくという政策が明確に打ち出された。NATO(北大西洋条約機構)が初めて第三国に対して武力攻撃を仕掛けるという意味で画期的だった1999年のユーゴスラビア空爆作戦にも、ドイツは戦闘機を参加させた。
 第2次世界大戦において、ドイツはナチス・ドイツの暴虐の経験があるので、国内的には平和主義、反軍国主義が根付いており、ユーゴスラビア空爆作戦への参加に至るには大きな抵抗感があった
 そこでの論争をどう乗り越えたのか――。ドイツの政策には、「ノーモア・ウォー(戦争はもう起こさない)」と「ノーモア・アウシュビッツ(ナチスのアウシュビッツ収容所に象徴される虐殺行為はもう起こさない)」という二つの柱があった
 コソボ情勢は、この二つの原則に矛盾を生じさせた。つまり、ミロシェビッチ大統領が率いるユーゴスラビア政権は、コソボに居住しているイスラム教徒のアルバニア系住民に対して、非人道的な弾圧行為を行っていた。
 では、「ノーモア・ウォー」だといってこれを見殺しにするのか「ノーモア・アウシュビッツ」というなら、そんな非人道的なことをヨーロッパの地からは絶対に起こさせてはならないはずだ、と。ここでドイツは、どちらの原則を優先するかということで苦悩した
 今でも語り継がれているのは、連立与党「90年連合・緑の党」所属のフィッシャー外相が作戦行動への参加を党大会で訴えかけた際のエピソードだ。党員から赤いペンキを投げつけられ、耳の鼓膜が破れるという大荒れの大会になった。そうした激論を交わしながら、「ノーモア・アウシュビッツ」の原則が優先するというコンセンサス(合意)を固めていった

引用元:防衛省の発足に思う 冷戦後ドイツの安全保障政策との比較から(聖教新聞:メディアのページ 2007/01/19)

 このように、ドイツもWW2の苦い経験によって反軍国主義が根付いていたが、コソボでトラウマを刺激されるようなことが起きたので、戦略文化のジレンマ(「ノーモア・ウォー」対「ノーモア・アウシュビッツ」)が発生し、戦略文化の再定義(「ノーモア・アウシュビッツ」優先)がなされた。その結果安全保障政策が変更され、ドイツは戦後初めて他国に軍事介入することになった、ということである。
[ 2008/01/29 03:33 ] 国際関係理論 | TB(0) | CM(9)

しかし・・・

戦略文化論の問題点は、大きく二点あります。
①文化決定論に陥りやすいこと
戦略決定において、文化ってそんなに大きな変数なん?ってこと。
②反証可能性がないこと。
某国が、○○したのは○○な戦略文化をもっているから。しかし、これを証明するのは無理です><。。。

基本的にはサブで使う理論であって、メインでは使用に耐えられない分析枠組みだと思います
[ 2008/01/31 03:34 ] [ 編集 ]

やっぱり文化的アプローチはネオリアリズムを補完するものでしかないのかなorz

結局のところ国家行動に一番影響を与える要因って何なんでしょう?
実はこれが一番知りたい疑問です。

ネオリアリズムは、国内体制はアナーキーのもとでは基本的に同質的にならざるを得ない、
としていますが、本当に国際システムが一番大きな要因なんでしょうかね。
[ 2008/01/31 23:48 ] [ 編集 ]

戦後ドイツと日本の最大の違い。

ドイツ・・・露助と陸続きで最前線であった。
日本・・・・日本海が隔てていたのでお花畑になった。


まずは皆で協力して露助を叩きのめしてから考えるべきだった・・・。
[ 2008/02/01 10:47 ] [ 編集 ]

コソボ問題などEU領域における国際紛争の軍事的な解決方式をAU軍での紛争解決を模索するアフリカと比較してみるとか
勿論、結成さえ資金?人材?装備の面からアフリカ独自ではままならなかった事を考えれば、同等に見ることは出来ないでしょうが、紛争解決という現実問題を考えれば国連や西欧のサポートを受けるのが現実的な訳ですが、彼らはあくまで“アフリカによる”紛争解決を望んだ訳で
私はその一因には旧宗主国の力を借りるのはじくちたる思いがあるのではと推察しましたが
友人にこれを話したら問題解決よりプライドか、と言いましたが、この辺のアフリカ諸国の心理などは地域の外交的文化なのかなぁ、と
検証は確かに無理ですが、外交戦略を決めるキーの一つではないかと思ったもので(@_@)
[ 2008/02/01 18:02 ] [ 編集 ]

>>ケンプファーさん
「海の抑止力」というのは精神的にもとても大きいですからね。

>>蒼き鷹サルレムさん
>検証は確かに無理ですが、外交戦略を決めるキーの一つではないかと思った
政策決定者の心理と政策との関係を完全に否定する人はたぶんいないと思うのですが、
因果関係を説明するのが難しいんですよね><
[ 2008/02/01 23:27 ] [ 編集 ]

返信有難うございます

突然書き込んだのに丁寧な返信、有難うございます。
関東の院生です。

>因果関係を説明するのが難しい
まさに、おっしゃる通りだと思います。
因果関係じゃなくて相関関係なんですよね。
二酸化炭素が増えた。同じ時期に温暖化している。
じゃあ、温暖化は二酸化炭素だ!みたいな(泣)
この間の国際政治学会での戦略文化論の発表でも、そういう議論がありました。
私も個人的には大好きなのですが・・・


>結局のところ国家行動に一番影響を与える要因
 私見を申し上げることを許していただければ、E.H.カーの使っている意味でのリアリスト的に考えれば、ケース・バイ・ケースなんじゃないのかなぁと。
 なぜなら、国際関係は変数の検証が非常に困難だからです。
 変数を検証する際には、従属変数の値が異なるケースの比較検証が多く用いられます。この場合、先行条件(antecedent condition)が似ているケースを選ぶのが比較研究の鉄則です。何故ならば、そうしないと,従属変数の値の違いが、独立変数によるものか、他の要素によるものか、わからなくなるからです。
 しかし、国際関係・・・というより社会科学の場合、あまりにも変数が膨大であり、先行条件も非常に膨大です。
 結局、いくら比較研究をしても「黄色い眼鏡をかけると黄色く見えるのです」としか言いようがないのです。
 勿論、だからといって研究に意味がないとは言いません。しかし、一般理論及びそれに近いサブ理論は無理なんじゃないのかな。それだったら事例検証の積み重ねで、その場その場で理論を使い分けるしかないのかな、というのが個人的意見です。(しかし、こうした「理論多元論」も、なぜ、その状況で、その理論に説得力があるのかを説明できない問題点があるので頭が痛いorz)
 なんか、非生産的な意見でごめんなさい。

もし宜しければ、メールでお話させていただいても宜しいでしょうか?あんまり書くと安保やってる学生って特定されやすいし、業界の性質上、そうなるとヤバイのでww


[ 2008/02/05 17:42 ] [ 編集 ]

こちらこそ有意義なコメントありがとうざいます。
専門的なツッコミをされるな~と思っていたら院生さんでしたかw

>社会科学の場合、あまりにも変数が膨大であり、先行条件も非常に膨大
ホントそこが大変なんですよね。その点理系は楽だよな~とか思いますw理系には理系のつらさがあるんだろうでしょうが。

>安保やってる学生って特定されやすいし、業界の性質上、そうなるとヤバイ
ちょwwwならこんなブログ書いてる自分はwww
安保ってやっぱり特殊なんですか?^^;

メール大歓迎ですよ。メアドはsieg_heilアットマークhotmail.co.jpです。
[ 2008/02/06 00:38 ] [ 編集 ]

>>安保やってる学生って特定されやすいし、業界の性質上、そうなるとヤバイ

まあ、そーゆー業界なんでwいや詳しく知らないけど。
いざとなったら業界の大先生が防衛大学校長の事実を指摘して自己正当化を図れば・・・ダメ?w
[ 2008/02/06 18:09 ] [ 編集 ]

やばくなったら「これからは人間の安全保障だ」とか心にもないこと言おうかw
[ 2008/02/07 15:58 ] [ 編集 ]

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