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ネオクラシカル・リアリズム 

 久しぶりに前回の更新から約1週間での更新。

 今学期ゼミでこの本を輪読することになった。この本は安全保障に関する理論書で、たぶん国際関係理論と安全保障に関する知識をある程度持ってないとキツいと思う。ゼミ生の何人かも難しいって嘆いていた(´∀`)

 この本ではツキュディデスが絶賛されていて、「名誉」・「恐怖」・「利益」(「アテネの力の増大がスパルタの恐怖となってペロポネソス戦争が起きた」など)を軸に、セキュリティ・ジレンマやプロスペクト理論など心理面を強調して安全保障を論じている。著者はネオリアリズムを強く批判し、デフェンシブ・リアリズムを褒めまくりw
 ということで今回は久しぶりに理論について書こうと思うけど、この本には出てこないネオクラシカル・リアリズムについて書く。というのも、ギデオン・ローズが言っているようにネオクラシカル・リアリストの原型もツキュディデスだからである。

The neclassical realist archetype is Thucydides' History of the Peloponnesian War, which grounds its narrative in the theoretical proposition that the “real cause” of the war was “the growth of the power of Athens, and the alarm which this inspired in Sparta,” and then describes how systemic incentives were translated through unit-level variables into the foreign policies of the various Greek city-states.

引用元:Gideon Rose, "Neoclassical Realism and Theories of Foreign Policy", World Politics 51 (October 1998), pp.153-154.

 以前この記事で書いたが、この理論は「systemic incentives(independent variable)→internal factors(intervening variables)→foreign policy」(ローズ、154ページの図より)と考える理論である。つまり国際構造要因と国内要因、特にはパワーの分布(各国の相対的パワー)と意思決定者(指導者)の認知に着目する。パワーを重視するという意味ではリアリズム的だが、それは意思決定者の認知や国内構造を通して対外政策になると考える。ローズはその意味でネオクラシカル・リアリストは構造主義者(ネオリアリストやオフェンシブ・リアリスト)とコンストラクティヴィストの中間に位置するとも言っている(ローズ、152ページ)。ネオリアリスト・リアリズムのようにパワーがそのまま国家の対外政策を決定するとは考えないのは、必ずしも意思決定者達がパワーに関して共通の、または正しい認識を持っていないからである。時には指導者が国家のパワーを間違って認識し、それが重大な結果をもたらす場合もある。

 その一例はコリン・エルマンら『国際関係研究へのアプローチ』第6章のランドール・L・シュウェラー「危機の二十年 1919-39―なぜ国際協調は生まれなかったか―」に書かれている。シュウェラーが言うには、WW2でソ連がドイツと悲惨な戦争をする羽目になったのは、スターリンがヨーロッパをドイツ、ソ連、英+仏の三極と見ていた(英仏を過大評価していた)せいだとのこと。ヒトラーはまずフランスを短期間で倒し、その後ソ連を叩こうと考えていた(大筋はシュリーフェン・プランを踏襲)が、スターリンはドイツと英仏の戦争が長引いてソ連が漁夫の利を得られると考えていた。しかしフランスがすぐに負けてしまったのでその戦略は裏目に出てしまったわけである。このように客観的なパワーの分析だけでは、国家の行動を説明するには不十分だというのである。

 ちなみに、英仏が一極を担わなかった理由は元々国力がそんなに大きくなかったというだけでなく、イギリスが積極的にドイツに対抗しようとしなかったからである。ドイツと隣接しているためにその脅威を強く感じていたフランスは積極的に同盟を組んだりしてドイツを封じ込めようと考えていたのに対し、海に隔てられたイギリスはそれほど危機感を感じていなかったのか、同盟などにはあまり乗り気でなかった。それにイギリスは同盟や対抗ブロックは戦争を抑止するどころかWW1の原因になったと考えていた。このようなすれ違いによって両国はドイツを抑えることができず、ソ連は誤算から多大な痛手を被ることになったというわけである。
[ 2008/10/14 01:42 ] 国際関係理論 | TB(0) | CM(4)

おひさしぶりです

ちょっとまとまった時間がとれそうなんで、本でも読んでみようかと思うのですが、この本は知識をもってないと難しいと言う事で、無理かなと思います。

昔『 国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序 中西寛著』を読みましたが、なにかお勧めあるでしょうか。テロとかそういうのにも関連するようなのだと面白いかなと思うのですが。
[ 2008/10/26 03:51 ] [ 編集 ]

お久しぶりです。

防衛大の『最新版 安全保障学入門』をまず読んでみることをおすすめします。これで安全保障に関する基礎知識は身に付くと思うので、他の本を読む際にも理解が深まると思います。

テロをメインに取り上げた本は読んだことがないのですが、黒野耐『「戦争学」概論』に少しテロのことも書かれていました。抽象的な話だけじゃなくて、実際の戦略・戦術などに関しても若干詳しく書かれています。こちらも読みやすい本です。
[ 2008/10/27 20:31 ] [ 編集 ]

遅くなりましたが、今Amazonで中古を注文しました。友人も面白そうと言ってましたが、多分僕が一人で読むことになると思いますw
[ 2008/11/05 00:56 ] [ 編集 ]

ちなみに面白そうな文献を探す方法として、気に入った本の参考文献を辿るというのは有効ですよ。
[ 2008/11/09 23:00 ] [ 編集 ]

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